IXploreシリーズに統合されました
SpinSR10は、IXploreシリーズとして統合されました。詳細については以下URLよりご確認ください。
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画像とは様々な空間周波数の集まりにより構成され、分解能が高い画像とは高い周波数成分を有していることを意味しています。共焦点光学系はボケ像を取り除き焦点面のみの情報を取り出すだけでなく、従来の分解能を超える超解像領域の周波数を検出できますが、この超解像領域のコントラストは低く、可視化することが困難でした。Olympus Super Resolution(OSR)技術は、超解像領域をできるだけ画像の中に取り込むために光学系を最適化すると同時に、コントラストの低い超解像領域を本来のコントラストに高速に回復させるオリンパス独自のオプトエレクトロニクス技術により、水平分解能120nmを実現します。
また、1枚の共焦点画像に対する処理で、高速かつ最小限のデータ量で超解像画像を得ることができます。特別な蛍光色素を必要とせず、従来の蛍光色素が使用できるため、マルチカラーの超解像イメージングも手軽に実現できます。
関連論文:S. Hayashi, "Resolution Doubling Using Confocal Microscopy Via Analogy With Structured Illumination Microscopy." Jpn J Appl Phys. (2016).
中間変倍ユニットによって、共焦点モードと超解像モードを切り替えることができます。オリンパス専用の中間変倍ユニットは、超解像用対物レンズの性能を最大限発揮させる基本光学設計、倒立型顕微鏡IX83に最適なテレセントリック光学系を搭載しています。これにより、視野周辺まで均一な画像性能を得ることができます。
共焦点ピンホールを多数有すディスクを高速に回転させ、一枚の共焦点画像をカメラで高速に取得します。これにより最速5ms/fでの画像取得が可能であり、高速に起こる生物現象を捉えることができます。多数あるピンホールは十分な間隔を持ち、クリアな画像取得ができると共に、視野数18(共焦点モード)を確保する光学系によって、広い視野を一度に取り込むことを可能にしています。
共焦点ピンホールにマイクロレンズを備えたスピニングディスクにより、従来よりも明るい超解像画像取得を実現します。弱いレーザーパワーでのイメージングが可能になるため、サンプルに対する光毒性を抑えることができ、ライブセルイメージングに適しています。
通常の共焦点顕微鏡の結像関係は、照明系のPSF(点像分布関数)と検出系のPSFとの積で表されます。ピンホールの光軸中心からDの位置の結像を確認すると、図のように照明系のPSFと検出系のPSFの積となり、光軸中心からD/2の位置情報を中心として伝達されていることが分かります。これは、D/2の位置の情報がピンホール上ではDに拡大されていることと同等になりますが、これを補正するために、マイクロレンズを用いてピンホールに投影される個々の焦点を1/2に光学的に縮小することにより、理想的な結像関係になります。この場合の分解能は、ピンホールを無限小に小さくした場合の理想的な共焦点顕微鏡とほぼ等しくなり、高速で、細胞にやさしいスピニングディスクの特徴もそのまま維持されます。
関連論文:T. Azuma and T. Kei, "Super-resolution spinning-disk confocal microscopy using optical photon reassignment", Opt. Express 23, 15003-15011 (2015).
細胞内構造や現象の変化を捉えることのできるタイムラプス観察は、生物学研究では一般的なツールですが、その変化を捉えるための観察条件に合わせて設定をする必要があります。SpinSR10はライブセル超解像イメージングを実現し、高速な変化を捉えるだけでなく、できるかぎり光毒性を抑えることで正しい現象を捉えることが可能です。
SpinSR10では、スピニングディスク共焦点光学系を有し、ビデオレート以上での画像取得が可能です。また、高速処理により、超解像画像をライブで見ることが可能です。
GFPでラベルしたミトコンドリアのビデオレート(30fps)での高速観察
個々の細かいミトコンドリアの動態観察ができている。(Scale bar: 全体:5um, 拡大: 500nm)
標本作製、画像の取得・提供にご協力賜りました先生: 東北大学大学院 工学研究科 林 久美子 先生
ハードウェア性能に加え、オリンパス独自の高速超解像処理によって超解像のライブディスプレイを実現します。
Hela生細胞の伸長する微小管先端に結合するEB3タンパク
EB3を遺伝子導入によりGFPでラベル。
標本作製、画像の取得・提供にご協力賜りました先生:
産業技術総合研究所 バイオメディカル研究部門 加藤 薫 先生
SpinSR10では、多次元の超解像画像を取得することが可能です。他の超解像手法に比べ、設定パラメータ等が少なく簡単にマルチカラー超解像イメージングが可能です。特別な蛍光色素を必要とせず、従来使用しているサンプルを使用することができます。また、オプションで2つのカメラを同時に接続するシステムを構築でき、ライブセルでの2色同時の超解像イメージングが可能です。
体細胞分裂期中期の紡錘体の様子※
ヒト子宮頸癌由来細胞株HeLa細胞を抗Hec1抗体(キネトコアを可視化: 緑)と、抗tubulin抗体(微小管を可視化: 赤)で免疫染色し、DAPIで染色体(青)を可視化した。染色体がキネトコアを介して微小管と結合している様子を観察。
標本作製、画像の取得・提供にご協力賜りました先生:
東北大学加齢医学研究所 分子腫瘍学研究分野 池田 真教 先生、 田中 耕三 先生
内耳コルチ器外有毛細胞ステレオシリアとキノシリア(アクチン:赤、微小管:緑)
標本作製、画像の取得・提供にご協力賜りました先生:
1大阪大学大学院生命機能研究科・医学系研究科、
2京都府立医科大学耳鼻咽喉科・頭頸部外科学
加納 初穂 先生1、神谷 透 先生1,2、坂口 博史 先生2、月田 早智子 先生1
Hela細胞ストレスファイバー※
アクチンをAlexa Fluor 488(緑)、ミオシン重鎖をAlexa Fluor 568(赤)で抗体染色。
標本作製、画像の取得・提供にご協力賜りました先生:
東北医科薬科大学 医学部 解剖学教室 上条 桂樹 先生
NG108細胞の成長円錐
F-actinをAlexa Fluor 488、tubulinをAlexa Fluor 594で抗体染色。
標本作製、画像の取得・提供にご協力賜りました先生:
産業技術総合研究所 バイオメディカル研究部門 加藤 薫 先生
培養上皮細胞の分裂装置(微小管、Z01)
標本作製、画像の取得・提供にご協力賜りました先生:
大阪大学大学院 生命機能研究科・医学系研究科 加納 初穂 先生、矢野 智樹先生、月田 早智子 先生
3Dタイムラプス観察やライブセルイメージングでは、光毒性を減らすためにできるだけ無駄な光を当てる時間を短くすることが望ましく、高い時間分解能が求められます。リアルタイムコントローラーは、独立したCPUボードを搭載し、マイクロ秒オーダーでのカメラやレーザー制御を同期させ、複雑な実験系でも遅延やロスのない処理を行います。
IX3-ZDC2は、光毒性の少ないレーザークラス1のIRレーザーを用いて容器底面を検出し、ピントを合わせます。ワンショットAFは、厚みのあるサンプルに対して任意にフォーカス位置を設定でき、Zスタックを効率よく取得できます。また、コンティニュアスAFでは常に同じZポジションを保持できるため、高速なタイムラプスイメージングでもピントを維持します。
細胞内構造を観察するには、焦点以外からの蛍光が入り込んでしまうと鮮明な画像の取得ができず、鮮明な画像を取得することができません。SpinSR10では、共焦点光学系を採用しさまざまな対物レンズを利用することで、ボケの少ない鮮明な超解像画像を深部でも可能にしました。
GFPでラベルした脳スライスのプルキンエ細胞
共焦点観察によりサンプルのXYZを観察し、高さの異なる場所を超解像で観察した。超解像画像はそれぞれZ10枚のプロジェクション画像。3次元構築画像はFV31S-DTで表示。
標本作製、画像の取得・提供にご協力賜りました先生:
慶應義塾大学医学部神経生理学研究室 竹尾 ゆかり 先生、 柚﨑 通介 先生
SpinSR10では、3次元超解像でタイムラプス観察することも可能です。
神経細胞の3次元タイムラプス
EGFPで標識したマウス初代培養神経細胞を、アストロサイトと3週間共培養後に観察。露光時間500ms/frame、Z間隔0.2umで26スライス取得したXYZ画像を3次元構築。3次元構築画像はFV31S-DTで表示。
標本作製、画像の取得・提供にご協力賜りました先生:
東京大学 大学院薬学系研究科 薬品作用学教室 池谷 裕二 先生
共焦点光学系をベースにした超解像技術であり、光学セクショニングにより背景光(ボケ像)のない鮮明な超解像画像を取得できます。
培養上皮細胞の分裂装置(微小管、Z01)
標本作製、画像の取得・提供にご協力賜りました先生:
大阪大学大学院 生命機能研究科・医学系研究科 加納 初穂 先生、矢野 智樹先生、月田 早智子 先生
深部観察では、球面収差は大きく影響します。球面収差とは、光路中の屈折率ミスマッチ(対物レンズの浸液とサンプルの屈折率など)によって発生し、分解能やコントラストの低下を招きます。特に開口数の大きい対物レンズでの影響度が高く、超解像イメージングの深部観察するために考慮しなければならないことのひとつです。屈折率はサンプルに依存しますが、一般的な生細胞やカルチャー組織スライスでは、おおよそne=1.38であり、それに近い屈折率の浸液を利用したシリコーンオイル浸対物レンズは超解像イメージングの深部観察に最適な対物レンズであり、球面収差を抑えることで数十マイクロメートル深部の細胞内構造を観察することを可能にします。
対物レンズの種類で深部観察性能の比較(サンプル:生体屈折率を模した材料に0.1マイクロメートル蛍光ビーズを混入させたもの)。左絵TIRFM用対物レンズ、右絵シリコーン浸対物レンズ
NAの高いTIRF用レンズよりもインデックスミスマッチの少ないシリコーン浸対物レンズの方が深部観察に適していることがわかります。
補正環は対物レンズの中のレンズ位置を調整することで、光路中の屈折率ミスマッチによって発生する球面収差を補正し、分解能、明るさ、コントラストなどの画質を向上させることができます。特に超解像画像で使用される開口数の高い対物レンズでは球面収差の影響が大きいため、補正環を調整することは重要です。遠隔補正環ユニットは、すべての補正環付きUIS2対物レンズで使用することができ、より簡単に補正環調整を可能にします。
取得した画像をより鮮明にする画像処理、デコンボリューションはOlympus Super Resolution(OSR)で得られた画像にもオプションライセンスとの組み合わせで適用可能です。専用のアルゴリズムを用意し、より鮮明な3次元画像の構築が可能になります。
SpinSR10は共焦点機能も制限なく使用できるマルチモーダルなシステムであり、ナノメートルオーダーの分子解析から厚みのある組織観察まで、多目的な利用が可能です。また、SpinSR10を制御するイメージングソフトウェアcellSensは観察、画像処理、画像解析を直感的な操作でシームレスに行えます。さらに、ワークフローにあわせたGUIカスタマイズにより快適な作業環境を実現します。
SpinSR10はカメラでのワイドフィールド観察・共焦点観察・超解像観察がひとつのシステムできるため、幅広い目的で使用できます。また、各観察手法をワンクリックで切替可能なため、同じサンプルに対して、各観察法で画像取得し比較することも可能です。
全ての光学系が電動化されているため、ソフトウェア上で観察手法を選択するだけで顕微鏡の設定を簡単に再現できます。マルチカラーの変更だけでなく、ワイドフィールド観察から共焦点観察、さらに超解像観察までワンクリックで切り替え可能です。
電動ステージ(IX3-SSU)とcellSensのマルチポジションオプションの組み合わせで複数ポジションの画像取得の多次元観察を自動化できます。観察数を増やすためのマルチエリアタイムラプスや、隣り合ったポジションを貼り合わせることで広い視野の超解像画像を取得することも可能にします。また、超解像イメージングでは取得したい位置の微調整をスムーズに行えることも重要です。IX3-SSUはハンドル式のコントローラによる直感的な操作と、低熱ドリフトと高い駆動精度により、信頼性の高いマルチエリアイメージングを実現します。
プロセスマネージャーでは、マルチカラー、 Z スタックやタイムラプスといった多次元画像を簡単に取得できます。また、エクスペリメントマネージャーでは、ひとつの実験内で撮影条件を変更したり、3 次元の共焦点画像取得からある Z ポジションの超解像画像取得など、自由度の高い実験系をグラフィカルなアイコンを設置するだけで設計可能です。
イメージングソフトウェアcellSensは様々な画像解析機能を利用することができ、取得した画像から様々な数値データの抽出が可能です。直線距離や多角形の周囲長、面積などの計測から、粒子解析、コローカライゼーション、オブジェクトトラッキングといったより高度な計測・解析を可能にします。
しきい値を設定し、画像内にあるオブジェクトの個数、面積、輝度、形態といった情報を解析することが可能になります。
局在解析をするために利用されるマルチカラー画像における2 つの異なった蛍光でラベルされた部位の重なり具合を解析することが可能になります。
オプションライセンスとの組み合わせで、タイムラプスイメージングで取得された画像データにおける、移動や分裂をする個々の粒子や構造の輝度、移動速度を時系列で簡単に計測・解析可能にします。
※HeLa細胞は医学研究で最も重要な細胞株の一つで、科学の発展に偉大な貢献をしました。しかし、この細胞の元となったヘンリエッタ・ラックス(Henrietta Lacks)さんの同意が得られていなかった事実を認識しなければなりません。HeLa細胞の使用は、免疫学や、感染症学、癌研究などにおける重要な発見に貢献しましたが、同時に医学における個人情報保護や倫理についての重要な議論も引き起こしました。
ヘンリエッタ・ラックスさんの生涯と現代医学への貢献における詳細は、以下にアクセスしてご覧ください。
http://henriettalacksfoundation.org/
超解像・共焦点組み合わせ | 共焦点組み合わせ* | |||
搭載可能レーザー | 405nm: 50mW, 445nm: 75mW, 488nm: 100mW, 514nm: 40mW, 561nm: 100mW, 640nm: 100mW | |||
レーザーコンバイナー |
メインレーザーコンバイナー: 405nm, 488nm, 561nm, 640nm + 1ライン( 445nm または 514nm)
サブレーザーコンバイナー: 445nm, 514nm インターロックシャッター: レーザーコンバイナー内に2基内蔵 | |||
レーザーコントロール | U-RTCE による ON/OFF および出力連続可変(0%-100%、1%ステップ) | |||
スキャンユニット | 横河電機社製 CSU-W1 | ディスクユニット | SoRaディスク、50umピンホールディスクから最高2枚選択可能 | 50umピンホールディスク |
カメラポート | 1又は2カメラモデル*2 | 1又は2カメラモデル | ||
超解像モード | ||||
取得スピード(最速) | 5ms/f | - | ||
光学ズーム | 3.2 X | - | ||
水平分解能*3 |
SoRaディスク組合せ:110nm
50umピンホールディスク組合せ:120nm | - | ||
相当視野数 | 5.9 | - | ||
共焦点モード | 取得スピード(最速) | 5ms/f | ||
光学ズーム | 1X | |||
相当視野数 | 18.8 | |||
ダイクロイックミラー | 3 ポジション電動切換 | |||
エミッションフィルター | 10 ポジション電動切換 | |||
sCMOS カメラ | 浜松ホトニクス社製 ORCA Flash4.0 V3 (CameraLink) | |||
顕微鏡 | 対応鏡基 | 倒立型:IX83 | ||
電動ステージ | IX3-SSU | |||
超解像対応対物レンズ | UPLSAPO60XS2, UPLSAPO100XS, PLAPON60XOSC2, APON60XOTIRF, UAPON100XOTIRF | - | ||
電動変倍ユニット | 共焦点/超解像 2 ポジション電動切換方式 | |||
制御装置 | PC | OS:Windows10 Pro 64bit | ||
ソフトウェア | cellSens Dimension | 多次元取得および画像解析ソフトウェア | ||
超解像モジュール | - |
* 共焦点組み合わせは、共焦点モードのみの組み合わせです。超解像モードでの使用が可能な超解像・共焦点組み合わせへのアップグレードが可能です。
*2 ディスクユニットの組合せにより一部制限あり。
*3 UPLSAPO100XS対物レンズで488nm励起した際のFWHM参考値。SoRaディスク組合せは40nm蛍光ビーズ、50umピンホールディスク組合せは100nm蛍光ビーズにて計測。
*4 弊社より提供する顕微鏡コントローラー(PC)はWindow10のOSライセンスが認証済みとなりますので、Microsoft社のライセンス条項が適用され、当該条項に同意頂くことになります。
Microsoft社のライセンス条項はこちらをご参照ください。
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