オリンパス株式会社(社長:笹 宏行) は、科学事業の新製品として、細胞内部の構造や信号伝達などの動きをライブ観察できる超解像イメージングシステム「SpinSR10」を2018年1月から全世界(一部地域を除く)で発売予定です。
超解像顕微鏡は従来の光学顕微鏡の限界を超えた分解能を持った顕微鏡です。一般的な光学顕微鏡の最小分解能が約200nm程度なのに対し、超解像顕微鏡はそれより高い分解能を持つため、これまで観察しにくかった細胞の内部構造まで高精細に観察できます。そのため医学・生物分野などの微細構造の観察が必要な研究において、さらなる貢献が期待されています。
今回発売される「SpinSR10」は、0.005s/フレームの画像取得速度と、120nmの分解能により高速な超解像イメージングを実現しています。これにより、細胞内小器官の微細な変化もライブ観察できるため、オートファジー※1など医学研究分野の更なる発展へ貢献が期待できます。また本機種は、広い視野での観察方法から微細な領域を観察する超解像観察への切り替えがワンタッチでできるため、観察領域の探索に手間をかけることなく、快適でスムーズな観察が可能となりました。そして深部観察にこだわったシリコーン浸対物レンズにより、厚みのあるサンプルであっても深部までピントのあった観察ができます。
※1 細胞内のたんぱく質分解の仕組みの一つ。2016年にはオートファジー研究にノーベル生理学・医学賞が授与
商品名 | 発売日 |
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スピニングディスク型共焦点超解像顕微鏡「SpinSR10」 | 2018年1月予定 |
| 左:共焦点観察画像 | 右:超解像観察画像 |
出典: |
本機種はオリンパス独自の光学特許技術※2により120nmの分解能を達成しています。また「スピニングディスク共焦点光学系」の技術を応用することで、最速0.005s/フレームの画像取得速度を実現しています。これら両技術を組み合わせることで、サンプルの高速な超解像観察が可能となり、オートファジーのような高速かつ微細な現象もライブ観察可能です。そのため、がんやアルツハイマー病など医学分野の研究において更なる発展への貢献が期待されます。
※2 オリンパス独自のオプトエレクトロニクス技術(特許第5412394号)
出典: |
屈折率ミスマッチによる深部観察への影響
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対物レンズによる深部観察性能の比較 (左: TIRFM対物レンズ、右: シリコーン浸対物レンズ)
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XY分解能 | 120nm | |
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画像取得速度 | 最速5ms/フレーム | |
スキャン方式 | スピニングディスク方式 | |
搭載レーザー | 最大6色(2色同時イメージング可能) |
※3 HeLa細胞は医学研究で最も重要な細胞株の一つで、科学の発展に偉大な貢献をしました。しかし、この細胞の元となったヘンリエッタ・ラックス(Henrietta Lacks)さんの同意が得られていなかった事実を認識しなければなりません。HeLa細胞の使用は、免疫学や、感染症学、癌研究などにおける重要な発見に貢献しましたが、同時に医学における個人情報保護や倫理についての重要な議論も引き起こしました。
ヘンリエッタ・ラックスさんの生涯と現代医学への貢献における詳細は、以下にアクセスしてご覧ください。
http://henriettalacksfoundation.org/
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