オリンパス株式会社(社長:笹 宏行)は、科学事業の新製品として、生命現象を高速かつ正確に捉え、高精細な画像を実現する共焦点レーザー走査型顕微鏡「FV3000」「FV3000RS」の2機種を、2016年7月から世界で順次発売します。
共焦点レーザー走査型顕微鏡は、蛍光色素を導入したサンプルをレーザー光で走査(スキャン)しながらサンプルから発する微弱な蛍光を検出することで、細胞内の微細な構造を高コントラストな立体画像として得ることができます。当社は、共焦点レーザー走査型顕微鏡と多光子励起レーザー走査型顕微鏡*1を、FLUOVIEW(フロービュー)シリーズとして展開しています。
今回発売するFV3000シリーズは、「FV1200」の後継機です。本シリーズは、細胞内の反応を高速に捉え高精細な立体画像として得られることに加え、暗いサンプルでも感度よく光を捉えることが可能です。また、蛍光を高効率で波長ごとに分ける分光光学系や様々なパターンの撮影スケジュールを確実に行う時間管理システムにより、精密な観察をサポートします。これらにより、生体組織内や生きている細胞内部の反応を、より高速かつ正確に捉えることが可能となり、がんのメカニズムの解明やiPS細胞を始めとする万能細胞の実用化など、最先端研究への貢献が期待できます。
*1 サンプルに近赤外レーザーを照射し、組織深部の蛍光観察を可能にする顕微鏡。
【商品名】 共焦点レーザー走査型顕微鏡「FV3000」「FV3000RS」
【発売日】 2016年7月
*2 共焦点レーザー走査型顕微鏡「FV3000RS」のみ搭載。
共焦点レーザー走査型顕微鏡「FV3000」
創薬研究をはじめとする生命科学・医学の研究分野では、生きている組織や細胞を用いて、それらの役割や機能を解明する試みが盛んに行われています。共焦点レーザー走査型顕微鏡と多光子励起レーザー走査型顕微鏡は、一般的な顕微鏡では難しい深さ方向の情報を取得でき、細胞内部の微細な構造を立体的に観察できるという特長から、多くの研究機関で利用されています。
その中でも細胞生物学や幹細胞、がんの研究では、再生医療の実用化やがんのメカニズムの解明、治療薬の開発に向けた取り組みが行われています。研究を進める上で、生体組織内や細胞内部の反応をより高速かつ正確に捉えることが求められています。
高速スキャナーの搭載により、最大で毎秒438枚の画像を取得できます。これにより、組織内の血液の動きや細胞間のシグナルの伝播など、組織・細胞内で起きている高速な反応を捉えることが可能です。
こうした研究のニーズに応えるため、当社は長年培ってきた光学技術とデジタル技術の融合により開発した共焦点レーザー走査型顕微鏡の新製品FV3000シリーズを市場に導入します。
蛍光を高効率で波長ごとに分ける分光光学系と高感度で光を捉える検出器を搭載しました。これらにより、細胞から発する微弱な蛍光を感度よく捉えることが可能になり、わずかな光しか発しない暗いサンプルでも、鮮明な蛍光観察を実現します。
新しく搭載した分光機構で、蛍光試薬などで重なった部分を高精度に色素ごとに分離でき、細胞内部の反応を正確に把握できます。さらに、新開発の時間管理システムを使用すれば、撮影の途中でスキャンする範囲やレーザー光の切り替えを行えるなど、さまざまな観察パターンを正確に実行します。これらにより、生体組織内や細胞内部の観察の信頼性を高めることができます。
レーザー光源 | 標準: 405nm (50mW) , 488nm (20mW) , 561nm (20mW) , 640nm (40mW) |
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スキャンユニット | FV3000: ガルバノスキャナー |
分光検出ユニット | 高感度タイプ: 冷却GaAsPフォトマルチプライヤー 2ch、透過回折格子による分光 |
オプションソフトウェア | 電動ステージコントロールソフトウェア |
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