Evident LogoOlympus Logo

Discovery Blog

2020年グローバルIOTY最優秀賞受賞者の発表

著者  -
顕微鏡画像コンテスト受賞者

ラットの胎仔から蝶の鱗粉やヘビの皮まで、当社の第2回グローバルImage of the Year (IOTY) Awardの応募作品は、真に科学と芸術の接点を見出し、顕微鏡下の美しさを表現しています。

61カ国からの700点近い記録的な数の応募作品を審査し、各国を代表する審査員たちが、芸術的/視覚的側面、科学的なインパクト、顕微鏡技能の観点から受賞作品を選びました。

以下の受賞作品をご覧いただき、画像取得に用いられている革新的な技術をご確認ください。
 

グローバル最優秀賞はWerner Zuschratter氏に

ドイツから応募されたWerner Zuschratter氏の作品は、共焦点顕微鏡で取得した人目を引くラットの胎仔の全体像で、グローバル最優秀賞に選ばれました。

ラットの胎仔の全体像

グローバル最優秀賞受賞者のWerner Zuschratter氏は、固定し、透明化したラットの胎仔全体を捉えた3チャンネルの大規模共焦点画像を撮影しました。2チャンネルは、組織内の異なる自家蛍光色を表し、3つ目のチャンネルは、アリザリンレッドで染色された骨格を表しています。

Zuschratter氏は、この印象的な画像を取得した方法について次のように説明しています。

「このサイズの広範囲に透明な標本を顕微鏡を使って完全な3次元で撮影し、組織を固有の自家蛍光で識別すること(スペクトル分離またはその持続時間のいずれかによる)は非常に困難な作業です。」と話します。「このため、私たちは、元は発生試験用に作製していた古い標本を再度使用し、共焦点・時間分解ライトシート顕微鏡法を用いて撮影しました。このスキャンによって、特別に審美的で印象的な写真となりました。」

シンガポール科学技術研究庁(A*STAR)のリサーチ・サポート・センター(RSC)所長代理兼A*STAR顕微鏡プラットフォーム(AMP)所長であるGraham Wright博士は審査員として、この受賞作品を「真に印象深い画像であり、次世代の生物学者をインスパイアするものと確信しています。」と評しています。

賞品として、Zuschratter氏にはオリンパスSZX7実体顕微鏡とDP27デジタル顕微鏡カメラが贈られます。
 

地域最優秀賞は、XinPei Zhang氏、Justin Zoll氏、Grigorii Timin氏の3名が獲得

グローバル最優秀賞に加え、3つの地域最優秀賞が授与されました。アジア地域はXinPei Zhang氏(中国)、アメリカ地域はJustin Zoll氏(米国)、EMEA地域はGrigorii Timin氏(スイス)です。各地域最優秀賞受賞者には、オリンパスCX23正立顕微鏡が贈られます。

アメリカ地域最優秀賞の受賞者Justin Zoll氏は、偏光顕微鏡法を使用してL-グルタミン酸とベータアラニンの結晶の鮮やかなパノラマ画像を撮影し、受賞作品について次のように説明しています。

「私が最も印象深く、皆さんと共有できて嬉しく思うことは、単純な化学的/物理的相互作用から、このように優雅で複雑な形が生まれうるということです。」と話します。また、こうも述べています。「生命を進化させる、同じように単純な一連のルールが魅力的な特性を示すのを、顕微鏡でリアルタイムに見ることができます。」

L-グルタミン酸とベータアラニンの結晶の鮮やかなパノラマ画像

アメリカ地域最優秀賞の受賞者Justin Zoll氏は、偏光顕微鏡法を使用してL-グルタミン酸とベータアラニンの結晶の鮮やかなパノラマ画像を撮影しました。

Xiang Yu博士は、北京大学生命科学学院の教授であるとともに、北京大学・精華大学生命科学研究所およびマクガヴァン脳研究所の研究員です。博士は、この自然界から得られた画像の芸術性について次のようにコメントしています。

「この抽象的な美しい画像は、単純な化合物から作製したもので、自然こそが最も偉大な芸術家であることを強く示しています。」と話します。

アジア太平洋地域最優秀賞の受賞者であるXinPei Zhang氏は、40種を超える蝶の羽から採取された鱗粉を撮影した、目を見張るような画像で受賞しました。個別に撮影されたそれぞれの鱗粉が1枚の画像に組み合わされています。

XinPei Zhang氏の撮影画像

アジア太平洋地域最優秀賞受賞者であるXinPei Zhang氏は、異なる蝶の羽から採取した鱗粉を撮影しました。

UCL分子細胞生物学研究所の博士研究員であり、審査員を努めるSiân Culley氏は、この画像の独特な審美性について次のように評しています。

「この画像の美しい鱗粉を一枚一枚見ていくと、同じ昆虫でありながら、異なる種で形や色がこんなにも多様であることに驚かされます。」と述べています。

また、審査員のGraham Wright氏も次のように付け加えました。「異なる蝶の鱗粉の構成と多様性が、魅力的な画像を作り上げています。」

EMEA地域最優秀賞受賞者であるGrigorii Timin氏は、種類の異なる鱗であるヘビ皮を撮影しました。ヘビ皮の膠原線維と皮膚の色素細胞を撮影した彼の画像は、その独特な構造成分と色で審査員から好印象を得ました。

EMEA地域最優秀賞受賞者Grigorii Timin氏

EMEA地域最優秀賞受賞者であるGrigorii Timin氏は、アフリカイエヘビの胎仔の皮膚の膠原線維(第二高調波発生)と色素細胞(自己蛍光)を撮影しました。この画像は、共焦点スライス10枚の最大値投影法を使用しています。

審査員のSiân Culley氏は次のようにコメントしました。「この画像に写っているものは整然とした形ですが、とても楽しい何かがあります。帆立貝のように波打つ形状は、アール・デコのデザインからそのまま飛び出したかのような印象を受けます。」
 

特別賞入選作品

今年の特別賞は、Jan Martinek氏(チェコ共和国)、Laurent Formery氏(フランス)、Matt Inman氏(オーストラリア)、Sayantan Datta氏(インド)、Derek Sung氏(米国)、YiXun Su氏(中国)、MingShu Zhang氏(中国)、Nadia Efimova(米国)、Walter Ferrari氏(アルゼンチン)に贈られます。
 

受賞者の皆様、おめでとうございます!—そして、当社のGlobal IOTY Awardを今回も成功に導いていただいたことに感謝いたします。

私たちとともに科学と芸術の交わる世界を切り拓き、顕微鏡を通して見た世界を画像に残すことで、当社の第2回グローバルIOTY Awardを成功に導いていただいたことに感謝申し上げます。

オリンパス株式会社サイエンティフィックソリューションズ・グローバルマーケティング、Vice Presidentの中村聡氏は、大胆で美しく、そして時には息を呑むような画像について、次のように感激の気持ちを表しています。「応募数が記録的であっただけでなく、送られてきた画像が持つ品質や創造性は並外れて素晴らしいものでした。」また、「皆様が顕微鏡を使って作製してくださる想像を超える芸術作品を拝見してとても驚いています。」とも伝えています。

2021年度のコンテストもまたすぐに始まりますので、引き続きご注目いただき、賞の詳細をいち早くご確認ください。皆様が顕微鏡のレンズを通して撮影される隠れた不思議な世界に出会えることを今から楽しみにしています。
 

関連コンテンツ

「神経の庭園」の芸術と科学 - 2019年IOTYグローバル最優秀賞受賞者の紹介

顕微鏡的スケールの美を明らかにする-2019年IOTY アジア・パシフィック地域最優秀賞受賞者

科学とアートへの情熱を結び付けて - 2019年IOTY米州地域最優秀賞受賞者のインタビュー

マーケティング・コミュニケーション、マネージャー

Kerry Israel氏は、Olympus Corporation of the AmericasのScientific Solutions Groupのライフサイエンスのマーケティングおよびコミュニケーションのマネージャーです。Brandeis Universityで文学士号を取得し、広告・ソーシャルメディア戦略からグラスルーツアウトリーチまで、マーケティングのすべての側面で15年を超える経験を有しています。

2021年4月23日
このページはお住まいの地域ではご覧いただくことはできません。
Discovery Blog Sign-up

By clicking subscribe you are agreeing to our privacy policy which can be found here.

このページはお住まいの地域ではご覧いただくことはできません。

このページはお住まいの地域ではご覧いただくことはできません。