2014年、3人の科学者が「超解像蛍光顕微鏡法の開発」でノーベル科学賞を受賞しました。その結果、過去5年間に顕微鏡業界の超解像顕微鏡法技術への関心が劇的に増加しました。
超解像顕微鏡法という言葉を聞き慣れていない方に説明すると、超解像顕微鏡法とは、従来の光顕微鏡の回折光限界よりも高い分解能で行うサンプルの観察に用いる、あらゆる光学技術のことを言います。
本日の投稿では、超解像顕微鏡法の詳細について解説します。超解像顕微鏡の限界を知り、お手持ちの顕微鏡システムで超解像が可能になる方法を探りましょう。
超解像顕微鏡の限界
今日、ほとんど全ての市販顕微鏡メーカーが超解像顕微鏡を扱っています。これらの顕微鏡は通常の顕微鏡とほぼ同じくらい使いやすく設計されていますが、最初からそうだったわけではありません。専門家でなくても操作や調節ができる、使い勝手の良い超解像顕微鏡の開発には何年もかかりました。
当初、超解像への関心の波が研究界に押し寄せました。しかし、研究者がこれらの実験に対する膨大な努力の必要性に気づくと、関心も衰えていきました。サンプルの調整、イメージング媒体の変更または屈折率整合のような面倒な作業に対する恩恵は、その労力に値しませんでした。
共焦点顕微鏡で超解像イメージングは実施できるでしょうか。
共焦点顕微鏡のピンホールサイズを1AU未満に抑えることで、分解能が向上できることは十分に確立されています。
理論的には、そうすることで分解能を2倍に向上させ、一般的に超解像とされる分解能を得ることが可能です。しかし実際には、およそ1.4倍の分解能の向上しか得られないことが分かりました。高周波信号は、十分な低周波信号と比べて弱いためです。
その結果、すでに画像内に存在している既存の高周波空間情報を利用するために、共焦点顕微鏡などの既存の技術をどのように改善できるかに努力が向けられました。当然、デコンボリューション法が頭に浮かびました。
デコンボリューション法の仕組み
デコンボリューションアルゴリズムは、論理的なまたは取得した点像分布(PSF)を基に焦点外の光子を元の位置に再配置して、取得した画像の鮮明さと明確さを向上させます。
実際に、デコンボリューションアルゴリズムのみで、分解能未満の蛍光ビーズのサイズを半値全幅(FWHM)で縮小し、広視野で分解能を実測2倍に向上させることができます。
一歩戻って、顕微鏡法で言うところの分解能を定義してみましょう。従来これは、2つの対象が別々の対象であることを適切に定義するための、2つの対象間に26%以上の強度減少がなければならないと定めるレイリーの基準を用いて定義しています。
より一般的には、これは2点分解能と言われています。デコンボリューション法で分解能未満の対象のFWHMを狭くすると、より鮮やかな画像になりますが、超解像を得るには十分ではありません。
ここで疑問が生まれます。実際のサンプルを用いて真の超解像データを得るには、デコンボリューション法で十分なのか。
答えは、いいえです。
有名な線形デコンボリューション法の1つがウィーナーフィルターです。ウィーナーフィルターでは、全ての高周波データを同様に扱います。その結果、下図に示すようなリンギングが発生します。
フィルターの強度を変更するか、研究者を完全に閉め出してしまえば、このようなアーチファクトは最小限にできると主張する人がいるかもしれません。しかし現実には、分解能の限界未満の構造を観察する際は、大きなアーチファクトは許容できないのです。
これを念頭に、Olympus Super Resolution(OSR)を開発しました。
Olympus Super Resolutionで(超)鮮明な画像を取得
Olympus Super Resolution(OSR)とは一体何でしょう?OSRは、より信頼性の高い結果を提供するために、特定の高周波空間情報を増幅または減衰させるフィルタリングプロセスです。
これは、デコンボリューションアルゴリズムと連動して、超解像画像をより鮮明に、より明確にできるプロセスです。
OSRを使ってお手持ちの顕微鏡でより鮮やかな画像を得る方法については、以下の関連コンテンツをご覧いただくか、オリンパスまでお問い合わせください。