オリンパスは、お客様の光学観察・検査装置への組み込みに最適な対物レンズ等の光学ユニットを供給し、お客様の装置の検査精度や検査スループット向上に貢献しています。
今回は、顕微鏡の電動Z機構、照明装置、対物レンズ、デジタルカメラなどと組み合わせて⽤いることで、ピント調整(合焦)の⾃動化を実現するアクティブオートフォーカスユニット「U-AFA2M」(図1)を紹介します。
図1. U-AFA2Mと各種光学ユニットとの組合せ例
アクティブ方式とパッシブ方式の比較
オートフォーカス(AF)は、顕微鏡では自動化や省力化の目的で広く使用されています。AFの⽅式は、主にパッシブ方式とアクティブ方式の2種類に分類されます。
- パッシブ⽅式:観察像を⽤いて合焦する方式(図2)で、画像コントラスト⽅式とも⾔われます。パッシブ⽅式は、標本をフォーカス⽅向の両側に動かして、コントラストの増減からフォーカス⽅向を判断します。そのため合焦が遅い、コントラストの低い標本では合焦の追従が困難になる、というデメリットがあります。ただし、⽐較的安価に構成できるメリットもあります。
- アクティブ⽅式:AF機能専⽤の光源からの光を試料に照射し、その戻り光を基に合焦する方式です。フラットパネルやベアウェハーの検査など、コントラストのない標本の合焦に適した方式です。アクティブ⽅式の中にもいくつかの⽅式がありますが、オリンパスが採用した瞳分割⽅式は、標本をフォーカス方向の両側に動かすことなくフォーカス⽅向を検知する方式のため、合焦が速く、合焦の追従ができます。オリンパスでは、合焦検出箇所が標本面上の視野中心であるシングルスポット方式AFを製品開発し、⼯業⽤検査をされるお客様へ供給してきました。
図2. パッシブ方式の模式図
マルチスポット方式のアクティブAF開発
その後、半導体基板など標本の配線パターンの微細化や段差構造の複雑化によって、標本がわずかに横ずれした際に、合焦位置が段差の上段と下段を行き来する不安定な動作や、段差エッジでのAF光の散乱によるフォーカスエラー信号のS/Nが悪化するといった合焦不安定性がみられるようになりました(図3)。これを解決するため、合焦検出箇所を多点化したマルチスポット方式のアクティブAFを技術開発しました(図4(b), 図5)。
図3. 合焦不安定性の要因
図4. 標本面上の合焦検出箇所の比較 | 図5. 合焦位置のオフセット機能 |
また、AF光学系のリレーレンズの光軸シフトによって、合焦位置を観察したい位置にオフセットする機能も加え、上記合焦不安定性を解消しました(図5, 6)。
(a) シングルスポット方式の場合 | (b) マルチスポット方式の場合 |
図6. 標本の横ズレに対する合焦安定性の比較 |
現在販売しているAFユニット「U-AFA2M」は、このマルチスポット方式のアクティブAF方式を採用し、オリンパスの顕微鏡に組み合わせて販売しています。また装置組み込み用のコンポーネント製品としても個別で販売しており、多くの半導体検査装置メーカーに採用されています。
お客様の装置への組み込みに適した、オリンパスの⾼品質な光学コンポーネントについてもっとお知りになりたい⽅は、www.olympus-lifescience.com/oem-componentsをご覧ください。