第4回イメージ・オブ・ザ・イヤー アジアパシフィック(APAC)地域最優秀賞を受賞した、顕微鏡のエキスパート、中国のJiao Liさんをご紹介します。顕微鏡の使用管理、教育、機能開発に携わっているJiaoさんは、顕微鏡の使用法、満足のいく画像の取得方法、そして科学的研究の遂行方法について、研究者を指導しています。この技術的知識を受賞作品の撮影に応用しました。この作品は、エーデルワイスの花の雄しべを表すカラフルな共焦点画像です。
Jiaoさんにインタビューを行い、受賞作品の詳細とサイエンスアートへの取り組みについて伺いました。
Q:受賞画像は何を表しているのでしょうか?
Jiao:この作品はエーデルワイスの雄しべの蛍光画像です。画像の中で花糸は赤く見えます。花粉粒は緑色で完全な形状です。
撮影者:Jiao Li氏。エーデルワイスの雄しべを捉えたこの共焦点画像は、第4回イメージ・オブ・ザ・イヤーのAPAC地域最優秀賞を獲得しました。
Q:この画像と題材の魅力について教えていただけますか?
Jiao:この作品は顕微鏡観察を教えているときに撮影しました。撮像のために、共焦点レーザー走査型顕微鏡で層スキャンと再構成の手法を用いました。さまざまな波長のレーザーで励起された雄しべは、カラフルな蛍光を示します。完璧な画像を撮影できたとき、その構造形態と色に魅了されました。この画像からは、雄しべの構造がはっきりと理解できます。また、自然の生命力と遺産の緻密さへの感謝も抱かされます。
Q:この画像はどのようにして撮像したのですか?
Jiao:共焦点レーザー走査型顕微鏡を使用し、サンプルのスキャンと再構築を3Dで行いました。この実験では、20X対物レンズを使用し、スキャン厚さ100µm、励起波長561nm、488nm、405nmをそれぞれ使用して画像を取得しました。
Q:この画像の撮影で難しかったのはどのような点ですか?
Jiao:厚みのあるサンプルなので、単層イメージングで完全な結果を得るのは困難です。ですから、共焦点レーザー走査型顕微鏡の層状スイープ機能を利用して、サンプルの3次元層スイープを実行しました。実験では、最高の分解能効果が得られる最適な撮影距離を見極めました。最終的に、スキャン厚さ100µm、撮影距離3µmで取得したのがこの画像です。
Q:この画像をイメージ・オブ・ザ・イヤーコンテストの応募作品に選んだ理由は何ですか?
Jiao:この作品は、自然界にある植物の雄しべの蛍光構造を表しています。画像の色はきらめいて、希望にあふれているように見え、自然の遺産が持つ緻密さに胸を打たれます。科学とアートは、異なる角度と手段で物事の本質を探り、物事の真実を明らかにします。この作品を見ると、科学技術とアートの美しさは互いに補い合っていると感じさせられます。
Q:あなたが初めて顕微鏡の使い方を習ったのはいつ、どこでですか?
Jiao:初めて顕微鏡に出会ったのは、中学の生物の授業でした。顕微鏡は科学研究の重要なツールです。
Q:顕微鏡でアート作品の創作をしようと思ったのはいつからですか?
Jiao:光学顕微鏡で初めて観察したサンプルは、タマネギの表皮細胞です。肉眼では見えない現象を見たとき、顕微鏡の下の世界は不思議で魅力的だと思いました。
その後、周りにあるあらゆるものが顕微鏡で観察できると知りました。身近な花や木、どこにでもいる微生物などです。顕微鏡の下の世界はカラフルです。私の研究では顕微鏡は大事なツールであり、これまで多様なサンプルを観察してきました。こうした観察は、科学的問題の解決や科学研究の進展に役立つので、顕微鏡観察法の習得と活用は重要だと思います。
Q:顕微鏡のどんなところに魅力を感じますか?
Jiao:光学顕微鏡の観察法にはたくさんの種類があり、そうした手法を用いることで、ミクロの世界の不思議を探り、生物学・医学分野の問題解決につなげることができます。顕微鏡画像は、科学面に加えて芸術的な体験をもたらすことがよくあり、科学の活動をよりおもしろくしてくれます。
顕微鏡観察法は進化と改良を続けています。その点で、エビデントの顕微鏡はいつも進化に対応してくれていると感じます。簡単で誰でも扱いやすく、優れたユーザー体験が得られると感じています。
第4回イメージ・オブ・ザ・イヤー受賞作品の壁紙をスクリーンにディスプレイしてみませんか?
Jiaoさんの受賞画像をさらによく観察するには、当社のイメージ・オブ・ザ・イヤー応募ページをご覧ください。画像を壁紙としてダウンロードし、お手持ちのスマートフォンやデスクトップPCにお使いいただくことができます。この記事が、皆さんの顕微鏡で科学の美しさを観察してみるきっかけになることを期待しています。
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