TruAI™ディープラーニングテクノロジーにより、SLIDEVIEW™ VS200リサーチデジタルスライドスキャナーの自動化をより一層進める事が可能になりました。これにより、画像取得はますます効率的になり、必要な手間と労力を格段に抑えることが出来ます。このブログ記事では、VS200ソフトウェアのバージョン3.4から利用できるようになったTruAIを活用して、サンプル検出精度をワンクリックで向上させる事例をご紹介します。
自動サンプル検出精度の向上
サンプルマスクを計算する従来のスキャンシステムのアルゴリズムでは、高コントラストではっきり染色されたサンプルについては良好な結果が得られます。しかし、非染色や淡く染色された難度の高いサンプルについては、結果が正確でないことがよくあります。生物プレパラートには本来ばらつきがあり(色の強さの違いなど)、これが自動サンプル検出の結果に影響を及ぼす場合もあります。
以下のビデオで、通常検出と人工知能(AI)自動検出の違いをご覧ください。
適切にトレーニングされたニューラルネットワーク(NN)を用いると、TruAIディープラーニングテクノロジーによって精度の高いサンプルマスクが生成されるので、画像取得を始める前に手動で調整する必要はまったくありません。ニューラルネットワークをトレーニングすれば、難易度の高いサンプルや検出しにくい対象オブジェクトの問題を克服できます。TruAIモードでは、形態的外観に基づいて、サンプルのサブ領域を選択的にスキャンすることもできます。
AIによるサンプル検出が精度の向上とワークフローの簡易化に寄与している様子は、以下のビデオでご覧ください。
AIによるスライドスキャンワークフローの最適化
このビデオで取り上げた自動検出の対象オブジェクトは膵島でしたが、カスタムトレーニングされたニューラルネットワークでは、どのような対象オブジェクトでも検出できます。
自動スライドスキャンプロセスにTruAIディープラーニングテクノロジーを使用すれば、特に以下のような点でワークフローを改善することが可能です。
- 効率と柔軟性の向上:わかりやすいソフトウェアインターフェースで設定や操作が簡単です。トレーニングされたニューラルネットワークのアップロードと実行は、ワンクリックで可能です。
- 取得データ量の削減:TruAIによる自動検出や選択的スキャンのおかげで、対象外の領域やサンプル外の領域を含む大量のデータを取得せずにすみます。これにより、画像の保存、アップロード、共有などのデータ管理を最適化できます。
- プロセスの自律性の向上:AIに基づく検出が正確なため、ユーザー操作の必要性が減ります。スキャン前にサンプルマスクを確認することもできますが、この手順を飛ばして確認なしで完全な画像を取得することもできます。この自律性によって、監視のないスライドスキャンと夜通しの実行が可能になり、作業時間を効率化できます。
ニューラルネットワークの事前トレーニング方法
カスタマイズされたニューラルネットワークを事前トレーニングするには、いくつかの方法があります。Detect and Deep Neural Networkモジュールを備えたオプションのVS200-Desktopソフトウェアを使用することも、cellSens™などの互換性のあるソフトウェアでトレーニングされたニューラルネットワークをインポートすることもできます。最新のVS200システム(バージョン3.4)では、無償のOlyVIA™ソフトウェアを使用して、トレーニング用にラベルを指定することもできます。これによって、ニューラルネットワークのトレーニングデータの増強に寄与する同僚や生徒を増やして、結果の精度をさらに向上させることができます。
TruAI自動検出を最大限に活用するには、ソフトウェアダウンロードページ内のリサーチスライドスキャナーカテゴリーから、VS200システムの最新バージョン(v3.4以降)をダウンロードいただき、更新してください。
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