スフェロイドの三次元細胞生死アッセイ

共焦点顕微鏡とNoviSightソフトウェアの細胞数カウントモジュールを使用して、スフェロイド内の死細胞の割合および薬効を定量的に評価することができます。

目的

腫瘍の表面から中心部までの距離には酸素や栄養分の拡散勾配があり、この厳しい環境のために腫瘍組織の深部で休止細胞や死細胞が発生します。スフェロイドモデルは腫瘍の微小環境を再現することが期待されています。以前は、3次元サンプルの内部を観察するために各部を別々に作製しなければなりませんでした。しかし、組織透明化技術の発展のおかげで、現在では、3次元サンプルの構造の完全性を維持しながら、サンプル内部を観察できるようになっています。本研究では、薬剤で処理し、固定して透明化した蛍光染色がんスフェロイドの共焦点画像に対して、NoviSightソフトウェアを用いた3次元定量解析を行いました。本研究は、透明化試薬とNoviSightソフトウェアを用いて薬剤に依存しない細胞死と薬剤に依存する細胞死を確認できることを実証します。

サンプルの作製

HT-29の細胞懸濁液を、1ウェル当たりの細胞数が500個になるように、U底ウェルプレートであるPrimeSurface®96Uプレート（住友ベークライト株式会社）に播種しました。細胞培養開始から8日後に、さまざまな濃度のスタウロスポリン（STS）およびNucView550を各ウェルに添加しました。1日間の培養後に、細胞を4%パラホルムアルデヒドで固定して、0.5% Triton X-100／PBSで透過処理しました。続いて、Hoechst 33342を用いて細胞核を4°Cで一晩染色し、スフェロイドをScaleS4で透明化しました。

結論
蛍光画像の取得と解析

共焦点レーザー顕微鏡FV3000を使用して、上記のスフェロイドの共焦点蛍光画像を取得しました。スフェロイドの深部にある細胞核がNucView550（A）で染色されたことから、STS非存在下でもアポトーシスが起きることが示されました。NoviSightソフトウェアを用いた細胞核認識および細胞数解析によって死細胞率（B）を定量化することができます。その結果、STSの用量依存的に発生した細胞死を確認することができました（C、D）。これらの結果は、薬剤によって誘発される3次元細胞死の定量的評価にNoviSightソフトウェアがいかに貢献できるかを示しています。

PrimeSurfaceは、住友ベークライト株式会社の登録商標です。
Olympusはオリンパス株式会社の登録商標であり、NoviSightおよびInsightful Analysis、Intelligent Answersはオリンパス株式会社の商標です。