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アプリケーション

FLUOVIEW FV3000とTruFocus Zドリフトコンペンセーターを使用した細胞運動と細胞増殖の長時間タイムラプスイメージング


細胞培養に基づくイメージング分析は、さまざまな生物学的現象を研究する際の基本的な柱です。 この方法では、研究者は細胞の増殖と動力学を長期的に観察できます。 細胞集団は局所的にさまざまなタンパク質発現プロファイルおよび運動パターンを示す可能性があるため、不十分なサンプリングによってバイアスや偏った結果が生成されないように、イメージング分析方法を慎重に設計する必要があります。 したがって、細胞培養に基づくイメージング実験は、マイクロプレートウェルや培養器全体にわたる複数視野に対応するように設計しなければなりません。 このアプリケーションノートでは、1回の実験で完全で確固としたデータセットが得られるように、FV3000顕微鏡で複雑なデータ収集パラメーターを用いて、マルチエリアタイムラプス画像を容易に取得できる様子を探ります。

1回の実験で複数視野を取得

この実験では、FV3000共焦点顕微鏡のマルチエリアタイムラプス(MATL)モジュールを使用して、細胞質緑色蛍光タンパク質(GFP)を発現するヒト臍帯静脈内皮細胞(HUVEC)集団の運動と増殖を、約12.5時間にわたり継続モニタリングしました。 実験の設計時には、各種倍率とZスタックパラメーターで複数の領域をモニタリングして、個々の細胞動力学と集団全体の動力学をトラッキングすることが重要でした。 MATLモジュールでは各位置やタイリングエリアに個別のXYZTパラメーターを登録できるため、長時間にわたり複数領域に対して倍率とZスタックパラメーターを変えて、さまざまなイメージング条件を容易にプログラムできます。

 

位置ごとに独立したXYZTパラメーターがマルチエリアタイムラプスソフトウェアに保存されるため、長時間にわたり特定の領域に対して倍率とZスタックパラメーターを変えて、さまざまなイメージング条件がプログラムされています。

図1: マルチエリアタイムラプス実験の概略図。 ウェルプレートのウェルごとに、個々のタイリングエリアの各位置をさまざまな倍率とZスタックパラメーターでプログラムしました。 これらの登録位置が12時間25分にわたるサイクルでイメージングされました。

位置固有のオートフォーカスを使用したHUVEC細胞の運動および増殖のトラッキング

長時間にわたるマルチエリアイメージングの最大の問題は、顕微鏡が置かれた部屋の温度が若干変動することによって、焦点が徐々にずれる傾向があることです。 さらに、カバースリップ表面とサンプル組織との距離が、カバースリップ表面域上で異なる場合があり、複数視野でクリアな画像を取得するのが難しくなります。 TruFocus Zドリフトコンペンセーターは、このような問題に対処するため、光毒性のない近赤外レーザーを用いてカバースリップとサンプルの界面を検出し、対応する焦点位置を定めます。 TruFocusシステムをMATL機能と組み合わせることで、位置ごとにオートフォーカスされる複数の独立したXYZT位置を簡単に登録できます。

この実験では、倍率とZスタックパラメーターの異なる複数の領域について、HUVECの運動と増殖の変化を、個々の細胞レベルと集団全体レベルの両方で長時間観察しました。 図2の動画でよくわかるように、MATLをTruFocusシステムに組み合わせることで、12時間にわたる実験を通してシャープな焦点を維持したまま、複数ウェルを繰り返しイメージング可能です。

図2: 細胞質GFPを発現するHUVECのXYZTマルチエリアタイムラプスイメージング。 示されている4つのサンプル画像は、データ収集パラメーターを変えて異なる位置で撮影されたものです。 TruFocusシステムは13時間にわたる実験を通して、さまざまな視野で同じ焦点を維持しました。

イメージング条件

上の2つのパネル:
対物レンズ:UPLXAPO20X
顕微鏡:FLUOVIEW FV3000RS共焦点レーザー走査型顕微鏡
レーザー:488 nm(GFP、緑色)
スキャナー:レゾナント
Zシリーズ:16ステップ
走査エリア総数:14

下の2つのパネル:
対物レンズ:UPLXAPO10X
顕微鏡:FLUOVIEW FV3000RS共焦点レーザー走査型顕微鏡
レーザー:488 nm(GFP、緑色)
スキャナー:レゾナント
Zシリーズ:15ステップ
走査エリア総数:48

合計実験時間:13時間11分

実験を可能にしたFV3000の技術

TruFocus Zドリフトコンペンセーターを使用したマルチエリアタイムラプス時の焦点維持

完全に電動化されているTruFocus Zドリフトコンペンセーター(ZDC)モジュールがピントのずれを調整し、長時間タイムラプス実験でサンプルに焦点を維持し続けます。 TruFocusシステムは、多彩な対物レンズや容器タイプ(ガラスボトムディッシュ、プラスチックボトムディッシュなど)に対応しており、アプリケーション機能を高めます。 ユーザーはZドリフトを気にすることなく、複数のイメージング条件下でピントの合ったクリアな連続タイムラプスデータを生成できます。

マルチエリアタイムラプス(MATL)ソフトウェアモジュールで独立したXYZTパラメーターが可能

マルチエリアタイムラプス(MATL)ソフトウェアモジュールでは、登録された位置またはタイリングエリアごとに独立したXYZTパラメーターを設定可能にすることで、FV3000顕微鏡の電動XYステージを制御します。 MATLモジュールは、FV3000倒立顕微鏡による完全なハードウェア統合と正確なタイミングで確固とした正確なタイムラプスデータを提供するため、市販のガラス製培養容器のほか、カスタム設計の機器やマイクロプレートでのイメージングにも最適です。

登録された位置またはタイリングエリアごとに独立したXYZTパラメーターを使用して、FV3000顕微鏡の電動XYステージを制御するマルチエリアタイムラプス(MATL)ソフトウェアモジュール。
James Hoying博士

James Hoying博士の コメント

私たちは、マルチウェルプレートの多数のウェルに配置されたさまざまな3D血管組織モデルを扱って研究しています。 3D血管系の高解像度共焦点画像を使用して、多数の組織の血管分布と血管形態を測定する必要があるため、TruFocusシステムとFV3000顕微鏡のMATL機能は極めて有益です。

謝辞

このアプリケーションノートは、以下の研究者の協力を得て作成されました。

James Hoying博士 (Advanced Solutions Life Sciences主任研究員)

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*2023年10月時点、当社調べによる。

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