2023年7月に人気を集めた顕微鏡画像は、文字通りショーの主役になりました。毎年、エビデントではグローバルで開催している顕微鏡画像コンクールの受賞者発表を楽しみにしています。とても素晴らしい応募画像の数々を目にするときはいつもワクワクします。今月もまた、ほうれん草から猫や犬まで、バリエーション豊かな美しい画像をお届けします。
今月最も人気だった画像は、ヒトデ幼生(Patiria miniata)の神経系を撮影した驚異的な画像です。この画像は、米国のLaurent
Formeryが撮影し、エビデントの第4回イメージ・オブ・ザ・イヤーでグローバル最優秀賞に選ばれました。
幅約1cmの小さなサンプルは、透明化処理後にアセチル化チューブリンに対する抗体で標識し、色別Zプロジェクションを用いて撮影されました。Laurentは、海洋科学の美しさを披露するため、ヒトデを選んで撮影しました。
「棘皮動物など海生無脊椎動物(ヒトデ、ウニ等)で作業しています」とLaurentは述べました。「美しい動物たちです。素晴らしい外観を持つ5つの対称軸を成し、動物王国でも珍しいです。動物たちが5つの対称軸を形成する方法については、あまり知られておらず、私の研究対象です。棘皮動物など海生無脊椎動物は、あまり良く知られていません。画像を撮影し、海洋の美しさや、動植物について学び保護することの重要性を伝えることができ、嬉しく思っています」。
第4回イメージ・オブ・ザ・イヤーでグローバル最優秀賞に選ばれたLaurent Formery氏から提供された画像。すべての受賞画像を見るには、olympus-lifescience.com/iotyをご覧ください。
こちらの画像は、以前にとても人気を集めたものです。この興味深い画像は、猫の胎児の断面です。胎児も皆さんを見ているような気がしますか・・・?顕微鏡画像では、出来上がりつつある耳、目、舌、頭蓋骨、鼻腔など頭部の形状が分かります。このサンプルは直径12mmでした。
猫の胎児の頭蓋骨を検査用に準備し、縦方向の断面図を作成してから、この素晴らしい画像を撮影しました。4つの個々の画像は、解像度を高め、画像を拡大して最終的にコンピュテーショナルフォトと呼ばれる1つのファイルに統合されています。
画像提供:Mike Peres氏。明視野顕微鏡で2倍の倍率で撮影。
顕微鏡で観察した双子葉植物は、驚きの連続です。
「双子葉植物には、単子葉植物とは異なる特徴的な節と節間があり、葉、枝、花が生じます。維管束の内部構造は、木部(オレンジ色と黄色で標識)、師部(蛍光緑色で標識)、複数の繊維から構成されます」。
画像提供とキャプション:Minjun Shin氏。オリンパスCX21顕微鏡で撮影。
ポパイは秘密を知っていたようです。ほうれん草の画像を見るだけで、エネルギーが湧いてきます。美しい画像を沢山味わいましょう。花火のような卓越した画像シリーズで、ほうれん草の根の断面を撮影しました。
画像提供:UiM。オリンパスBH2顕微鏡で撮影。
この素敵な画像を見たときに、ザクロの実の断面かと思いましたか?でも違います。実は、この画像は犬の腎臓でした。
「これは、薄緑色の対比染色を使い、過ヨウ素酸シッフ(PAS)で作成した、2つの美しい糸球体の画像です。腎臓の糸球体は、多くの微小な毛細血管ループと束から構成されます。ここから血流ろ過プロセスが始まります。毛細血管束は、基底膜で覆われています。この膜は、シッフ試薬と親和性があり、明るいピンク色に染まります。
画像提供とキャプション:Kate Murphy氏。オリンパスBX40顕微鏡で撮影。
最後にもう1つ動画をご紹介します。Chloé Savard氏が、人気のサンプルであるクマムシの画像について語っています。
「かわいい画像は私の好きなクマムシのHypsibius
spです。家で培養していたクマムシから、赤ちゃんが生まれ始めました。このビデオでクマムシのカップルを観察できます。
クマムシの原語tardigradeは、イタリア人の生物学者が命名しました。ラテン語の「歩みが遅い」という意味です。面白いことに、クマムシには8つの足でとても素早く動く種もいるのですが。
クマムシは、英語でwater bearやmoss
pigletとも称され、まさにミクロ世界の国際的なスーパースターです。クマムシは、極端な環境条件でも進化して適応できることで有名です。クマムシの適応例として、脱水状態に抗するため、仮死の樽状態になります。水和状態では、零下-196
℃(-320.8 ℉)まで、乾燥状態では-273~100 ℃(-459.4~212
℉)の気温に耐えることができます。多量の放射能、高圧、低酸素濃度、真空の空間に曝露されても、生存可能です。地球で最も放射線耐性のある動物の一種です。
クマムシは、多様な適応力を備え、地球でどのようなミクロ環境でも生息できます。北極、南極、砂漠、ツンドラ、山、森林、草原、谷、池、湖などで生存しています。深海でも見つかり、庭にもいる可能性が高いです。クマムシはサイズが50ミクロン~1.2ミリなので、庭で観察するには顕微鏡が必要です。
クマムシの体の周りにある泡状の構造が分かりますか?」
ビデオ提供とキャプション:Chloé Savard氏。オリンパスBX53顕微鏡で撮影。Chloéが撮った写真は、Evident Life Scienceインスタグラムに掲載されています。
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